難病疾患に対する支援の現状と課題

長浜赤十字病院 医療社会事業課
神経内科 平居 昭紀

長浜赤十字病院の理念と活動紹介

赤十字精神にのっとり、やさしさのある全人的医療をめざしています。長浜赤十字病院は、504床(一般病床430床、精神病床70床、感染症病床4床)の3次救急に対応する救命救急センターを開設し湖北地域の基幹病院として活動してきました。31科の診療科を擁する総合病院として、高度医療・救急医療等、急性期医療を中心とした医療、保健、福祉の総合的な需要に対応できるよう患者サービスを提供しています。

阪神淡路大震災を教訓に平成9年には地域災害医療センターに指定されヘリポートの設置、備蓄倉庫や大型入水槽、高容量発電機の設置等病院の改築事業にともない施設整備を行うことで地域医療に貢献できる体制を充実し整備しました。

臓器提供施設指定病院の指定、AIDS協力病院、精神科応急入院指定医療機関、臨床研修医指定病院の指定など地域の基幹医療機関として機能の充実を図っています。

難病患者に対する取り組みとしては難病医療ネットワーク協力病院として、平成18年からは神経難病医療拠点病院の指定を受け難病患者への支援を行っています。

難病疾患に対する支援の現状

当院では神経内科の主導で脳血管障害や難病疾患の治療・相談に当たっています。

今後も、内科、脳外科、耳鼻科等との連携のもとパーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化床、多発性硬化症、重症筋無力症等治療の難しい疾患に積極的に取り組んで行かなければならないと思います。湖北の特定疾患患者の多数を当院で援助しております。専門外来としての難病相談では広く地域全体にセカンドオピニオンや介護相談などを提供することを目標としています。

病態の急変に対しては救命センターで受け入れ入院治療の必要な状態の時は入院していただき必要な医療を行います。

在宅療養生活に向けての援助は重要で、24時間体制で介護をされている家族に対する支援体制を確保し援助していくことが大切です。当院に受診されている患者さんにも人工呼吸器の装着や気管切開、パーキンソ疾患が原因で胃ろうを造設し臥床生活で全介助を要する等、様々な在宅介護を必要とする患者さんがおられます。

こうした患者さんが安心して在宅療養をしていただくために医療、福祉、保健等の関係機関との連携を図りながら在宅療養を支援しています。専門医による訪問診療、地域の開業医、訪問看護、保健所の保健師、介護保険によるケアマネージャーや訪問入浴サービス、ヘルパーによる介護支援等様々な医療職種の連携による支援体制があって在宅介護が可能となります。

神経難病の患者さんに対して、当院では訪問看護ステーションと神経内科医師との連携で訪問診療を行い、開業医や地域の介護サービス機関と連携して支援を行っている事例もあります。

こうした患者さんと地域の機関とを結ぶコーディネートは病院のソーシャルワーカーが中心で行います。介護者の不安を十分に受け入れながら必要なサービスにつなぎ、関係職種とのカンファレンスを通して互いが情報を共有しながら役割分担を行い、それぞれの機関が必要な支援を行っています。こうした関係職種のネットワークと総合力が在宅難病患者の療養生活を支える重要なキーワードであると改めて思います。

又、在宅介護において家族の介護負担軽減のためにはレスパイト入院も重要です。何とかベッドの確保をしながら支援をしていますが、在院日数の減少が求められる急性期病院でのレスパイト入院はベッドの確保がかなり難しい状況にあります。例えば、療養型病院におけるレスパイト入院の受け入れ体制の確保等も配慮に入れながらこれからは考えていかなくてはならないのではないかと思います。

支援における課題

在宅介護が困難な患者さんも数多くおられます。普通の介護保険施設へ入所できる患者さんは限られています。吸引や人工呼吸器となると医療機関が必要であり、入院のベッド確保が重要な課題となります。難病ネットワークとも相談しながら病院探しをすることもありますが受け入れ病院は殆ど無いのが現状です。

専門病院への入院という体制確保ばかりでなく地域の療養型病院に対して専門医によるバックアップ体制を確保するなどのシステム化を図ることで難病患者の受け入れ体制を確保していく必要があると考えています。

難病患者さんに対する支援は、医療と保健、福祉の両輪の中で互いが相互の連携を十分に図りながら支援していくことが重要です。専門性を病院に閉じ込めるのではなく裾野を広げていく努力が求められています。

当院が湖北医療圏域の難病患者さんに対して中心的役割を背負い、神経難病拠点病院としての役割を十分に果たすよう努力していきます。幸い各科の医師やME,PT,OT,STなどスタッフは充実しています。また、病院間の連携実績もあがるようになってきました。

窓口として地域医療連携室にて地域医療機関との病病、病診連携の充実を図り、生活支援として医療福祉相談室にてソーシャルワーカーが対応させて頂いております。 今後も県難病医療ネットワークとも積極的に連携を図り協力していきたいと考えています。

(難病ネットワークだより(H19.2)から一部改変)