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病院長挨拶

院長

病院長 楠井 隆

 長浜赤十字病院は「人道・博愛」の赤十字精神にのっとり、全人的で優しさのある医療提供を理念として滋賀県湖北地域の中核的機能を担ってきました。赤十字は戦時救護から起こり、その後災害救護、平時における救急医療などにも力を入れてきました。当院もその一員として「いざという時に役に立つ病院」であることに務めてきました。

 我が国において災害医療は阪神・淡路大震災後急速に体系化、近代化してきましたが、我々もその流れに乗りつつ東日本大震災や最近の令和6年能登半島地震でも多くの救護班、DMAT隊などを派遣してきました。また、災害と捉えるのが適切と考えられる新型コロナウイルス感染症への対応においても県内の医療、特に重症者対応を主導的に行いました。

 病院は多くの健康な人にとって通常は行かない/行きたくないが、いざという時にこそ頼りにする所かと思います。24時間、365日救急車を断らない救命救急センターを運営すべく日夜研鑽に励み、医師を始め各職種間の連携も強化することで、皆さまの「いざという時」に備えております。がんや手術も「いざという時」に当たると思いますが、その分野でも患者さんにより優しい治療を進めております。内視鏡手術用支援ロボット ダ・ビンチのほか、人工関節手術用支援ロボットを新に導入しました。内科領域でも胃カメラや大腸カメラなどによる治療、各種カテーテル治療を充実させ、必要な場合は緊急で行う対応も行っております。

 少子化に伴い、生まれる子供が少ない分、妊娠、出産、小児への医療は特に重要です。産婦人科領域では滋賀県北半分では最も充実した体制がありますので、お産に関するトラブルが発生した場合の搬送も受け入れておりますし、当院の医師等が他の施設に出向いて支援することも少なくありません。出生後もNICUなど充実した体制でケアを継続しています。小児領域でも地域の中核を担っており、中でも小児期の精神的な問題に対処するため小児精神科を立ち上げ、精神科児童外来も行っております。精神科についてはがんや重傷の外傷時、認知症の方の入院時などにも大きな力を発揮します。県内で総合病院精神科が充実している病院のひとつとして「いざという時」に生じる精神的な不調にも種々のサポートを行っております。かつて精神科診療はそのほかの一般科の診療とは別に考えられてきていましたが、最近は互いに影響しあう一連のものとして考えることが多くなりました。当院では先端的に両者の協業を行っております。

 一般科の診療とは別と考えられてきた診療に歯科診療がありますが、当院は歯科・口腔外科も充実しております。手術や抗がん剤治療など負担の大きな治療を行うときなどの事前チェックのほか、困難な抜歯、腫瘍、歯を含む顎への外傷、インプラント治療なども行っております。基本的には地域の歯科の先生方からの紹介になりますがこの分野でも地域の最後の砦としての役割を果たすべく体制を整備しております。

 残念ながら呼吸器科、心臓血管外科、眼科など当院では十分な体制がない診療科もありますが、これらは近隣の市立長浜病院との連携で対応させていただいております。連携といえば、我が湖北地域では病院再編も話題となっております。なかなか先が見通せない状況ではありますが、地域の医療を守り育てるため関係機関と真摯に協議を進めてまいります。

 高齢化、労働力人口の減少、医療費高騰とその抑制など医療経営を取り巻く環境には厳しいものがありますが、これらの問題を前向きに進めるためには患者さんや住民の皆さまのご協力も必要です。まずは、高齢になっても元気に過ごすため日頃から習慣的に運動を行う。規則正しく、バランスの良い食生活を行う。定期健診、禁煙、節度あるお酒との付き合い、積極的な社会参加なども重要です。また、地域の医療機関間、介護施設などとの役割分担も重要になっておりますので、かかりつけ医・かかりつけ薬局を持ち、健康上の問題はまずはそちらで対処いただくようお願いいたします。かかりつけ医等では必要に応じ病院に紹介いただける体制を構築しております。また、これらに際して湖北地域ではびわ湖あさがおネットが医療情報のやりとりに大きな力を発揮しております。受診先などで勧められましたら是非利用に関するご同意をいただきますようお願いいたします。また、マイナンバーカードの保険証利用ではご同意いただければ過去の投薬歴や健診結果などが診察時に参照できます。当院を含め各医療機関での受付時に情報参照にご同意いただきますようお願いします。

 これからも地域の中での役割を意識し、求められる医療を提供できるようにしっかりと体制整備を進めていきたいと考えています。地域の患者さんや近隣の医療機関とお互いに理解、協力し合いながら真摯な姿勢で医療を行います。
 今後ともみなさまのご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。