家庭血圧測定条件について

装置

家庭用血圧計は聴診法で裏付けを得たカフ-オシロメトリック法に基く上腕カフ血圧計を用いる。

装置について

現在一般に電気屋に市販されている血圧測定器は、カフ振動を測定する「カフオシロメトリック法」によって値を出していますので、この指針をクリアしています。カタログに明示されていますので確認してください。

これから購入する方は、上腕に装着するタイプを推奨します。手首タイプの機種の方が売り場面積が広く取られている場合も見かけますが、手首タイプには誤差要因についての課題が多々残されており、「臨床判断の指標」としては現時点で不十分と判断されています。

手首タイプは、一人で簡単に装着できる点が非常に魅力的な道具であると思います。家族に頼るのが嫌なら、上腕タイプを正しく装着することは一苦労です。既に、手首タイプをお持ちの方は、誤差について主治医と検証してみてください。

手首タイプは「左手首を心臓の位置に当てて測定すること」を厳守してください。心臓との上下関係で測定値は大きく変わります。例えば、手を挙げて測定すると低い値がでます。手首タイプの測定値は現在「臨床判断の指標」に使えません。

測定部位

家庭用血圧計の腕帯は軟性腕帯を使用するのが望ましい。標準的体格の対象では硬性腕帯も適用となる。測定においては座位でカフが右心房の高さにあるように指導する。また腕は伸ばした状態で上腕の筋肉の緊張をとくため、前腕を机、テーブルの上に置き、必要ならば枕などの支持を用いる。極端に太い腕、細い腕ではそれぞれ大型カフ、小型カフの使用が望ましい。小児においても上腕サイズによっては小型カフの使用が望ましい。原則的に利き腕の対側を用いるが、左右差の明らかな場合は常に高く出る側の血圧測定をすすめる。

測定部位について

腕に巻きつけて固定するのが軟性腕帯で、ギプスのような型に腕をはめ込むのが硬性腕帯です。電気屋で見れば一目瞭然です。軟性腕帯には折り返しの金具がついており、一人で装着するための工夫がされています。

カフが右心房の位置で測定することは重要で、10cmの落差は7mmHgの誤差を生むことになります。利き手で装着するので、利き腕の反対側で測りますが、左右差が明らかな場合は常に高く出る側の血圧測定をすすめます。

装置の精度確認

ある個体と装置の適合性は聴診との較差が5mmHg以内であることを必要とする。検定には片側交互法あるいは両側同時法を用いることが推奨される。装置の精度確認は使用開始時とともに使用中も定期的に行なわれることが推奨される。

装置の精度確認について

片側交互法: 診察室に自動血圧計を持参して、聴診器と水銀柱で測った値(聴診法)との較差を、同じ腕で交互に測定して、比較する方法。それぞれ2回測定を推奨。

両側同時法: 聴診法と持参した血圧計で、左右の腕で同時に測定し比較する方法。左右を交換して2回以上測定を推奨。

測定条件

家庭血圧は以下の条件で測定されることが望ましい。すなわち朝の家庭血圧は起床後1時間以内、排尿後、座位1~2分間の安静後、服薬前、朝食前である。一方、晩の家庭血圧は就寝前、座位1~2分間の安静後とする。

測定条件について

家庭血圧測定の特徴は、

  1. 多数の測定値による再現性と安定性で薬の評価に有用であること
  2. 早朝高血圧を記録できる唯一の方法であること

です。決まったやり方で測定しなければ、判断を誤ることになります。そして、生涯に渡って続けることができる負担の軽さが求められます。

  • 排尿後: 排尿前には血圧は高く、排尿後には血圧は下がります。
  • 朝食前: 食事中は血圧は上り、食後には下がります。
  • 就寝前: 入浴も食事、晩酌、眠前薬も済ましたあと。

測定回数、測定期間

  1. 家庭血圧は朝晩それぞれすくなくとも1回は測定する。
  2. 家庭血圧はできるだけ長期間測定する。
  3. 観察期(無治療)の場合:外来随時血圧がSBP 179mmHg以下かつDBP 109mmHg以下(軽中等症)の場合、7日間に少なくとも5日間の測定を行なう。状況により観察期間は1~2週間とする。重症高血圧の場合はすみやかに治療に入るか、医師の判断で、1~3日間の家庭血圧測定を行なう
  4. 安定期(良好な血圧コントロール期):少なくとも1週間に3日間の測定を行なう。
  5. 薬剤変更期:7日間に少なくとも5日間の測定を行なう。

記録

すべての測定値は、時刻、心拍数とともに記録されることが望ましい。記録に際して対象の選択バイアスが入らないように指導する。プリンターによる記録の打ち出しあるいは電子メモリーによる血圧値の記録が望ましい。

測定回数、測定期間について

望ましくは、生涯の連日測定ですが、続けるためには、日々の生活の組み立て、規則作りが重要です。測定回数は、金土日とか、月水金とか、個々人の生活習慣の中に組み入れて考えてください。ガイドラインを満たせば、素晴らしいことですが、継続して測ることを優先して考えてください。

日常診療では、二週間または四週間の受診間隔を一単位として平均集計して考えます。

「高い値が出てしまったために納得できず、何回も繰り返して測定してしまった」というような場合は、そのすべてを記録して、低いものを選びたくなる気持ちを抑えてください。

集計

家庭血圧は朝の1回目の血圧、晩の1回目の血圧のある期間にわたる平均値を用いて、それぞれ別個に評価する。同時に標準偏差を算出することも必要である。また記録された全ての値は評価の対象となることから、別途すべての値も集計されることが望ましい。

評価

家庭血圧は135/80mmHg以上をもって高血圧と診断し、135/85mmHg以上ならば確実な高血圧として降圧治療の対象とする。一方、125/80mmHg未満を家庭血圧の正常とし、125/75mmHg未満を確実な正常血圧と判定する。

評価について

家庭血圧の判断には朝晩一回目の血圧の最低5日間の平均値を基準とします。

「血圧をどこまで下げればよいのか」については現在研究途中(HOMED-BP研究)で、条件設定に続いて、結果が待ち望まれる状況です。現状では「確実な正常血圧」を目標として考えています。